唖
おし
別名・異表記: 啞、唖者
発話に障害のある人を指す古語・漢語由来の語。マスメディアでは侮蔑的とされ、「口の不自由な人」「ろうあ者」などへの言い換えが進んだ障害関連注意語の一つです。
背景
「唖」(おし。漢字表記は「啞」も用いられる)は、発話に障害のある人を指す古語・漢語由来の語です。漢語では「唖者」とも言い、聴覚障害を併せ持つ場合は「聾唖(ろうあ)」として一括して扱われることが多くありました。発話障害の分類や福祉の文脈では、原因(先天性・後天性、聴覚性か否かなど)によって説明の仕方は分かれます。
障害当事者の人権意識が高まるにつれ、この語は障害を侮蔑・嘲笑する語感を帯びた表現として問題視されるようになりました。「めくら」「つんぼ」「びっこ」などと同様、いわゆる注意語の一覧に並ぶ代表例の一つです。報道・放送・出版では、個人を指す文脈でそのまま用いることを避け、「口の不自由な人」「発話に障害のある人」「ろうあ者」などの中立的・説明的な言い換えが慣行化してきました。
日本の放送においては、法令で固定された全国共通の「禁止語リスト」が一般公開されているわけではなく、各局の番組基準や現場判断、視聴者からの指摘を踏まえた自主規制として扱われるのが通例です。
メディアでの扱いのポイント
- 誰を指すか: 特定個人・集団を指して用いる場合、差別的と受け取られやすい
- 聾とのセット: 「聾唖」表記も、現代の公共メディアでは「ろう者」「難聴者」「聴覚障害者」など状況に応じた表現が選ばれやすい
- 歴史資料・創作: 時代考証や原文尊重のため残す場合があり、注記を付す例がある
学びの観点
「唖」は、身体・感覚・発話に関わる古語が、福祉用語・人権語彙の変化に伴い公共空間から退いていった過程を示す教材になります。単語の差し替えだけでなく、当事者の尊厳をどう言語で表すかという合意形成の歴史として理解することが、メディアリテラシーとして有用です。
備考
「聾唖(ろうあ)」として聴覚障害とセットで語られることが多く、現代では単独でも公共メディアでの使用は避けられるのが一般的です。歴史資料・創作では時代背景の注記付きで残る場合があります。
出典・参考
個人収集のいわゆる放送禁止用語一覧。公式局内リストではない。言い換え例として「口の不自由な人」「聾者」「ろうあ者」を記載。
参照日: 2026-07-18
日本における放送上の表現自主規制の概説。
参照日: 2026-07-18
「唖/啞」が伝統的呼称であること、現代では余り用いられないこと、聾唖との関係。
参照日: 2026-07-18
マスメディアにおける障害関連語の言い換えの文脈。
参照日: 2026-07-18
関連用語
びっこ
びっこ
歩行が不自由な様子や、その人を指して用いられてきた俗語。放送では差別的とされ、「足の不自由な人」「歩行に障害のある人」などと言い換えられることが多くあります。
かたわ
かたわ
身体の不自由を侮蔑的に指してきた語。放送・報道では「身体障害者」「体の不自由な人」などへの言い換えが示されることがあります。
めくら
めくら
視覚障害を指す古語・俗語として用いられてきた語。マスメディアでは侮蔑的・差別的とされ、「目の不自由な人」「視覚障害者」などへの言い換えが進んだ代表例の一つです。
つんぼ
つんぼ
聴覚障害を指す俗語・古語。放送や報道では差別的とされ、「耳の不自由な人」「聴覚障害者」などへの言い換えが一般的になった語の一つです。